2014年07月19日

吉森 保先生

昨日、うちの大学院の講義に、大阪大学の吉森保教授をお招きした。朝から4コマの細胞生物学のお話しと、1時間のセミナーをしていただいたのだ。ほど丸1日先生と同じ時間を過ごして、とても心が豊かになった。なぜなら、、、、

まず吉森先生はさすがだった。細胞生物学の基礎から始まってメンブラン・トラフィックの重要性に至る過程を、論理的な流れの中でキチンと学生に説明された。細胞がなぜ袋になっているか、なぜオルガネラがあるか、その概念的利点は何か、というふうに。

そしてオルガネラが方向性を持って移動する意義は何かと展開していった。学生たちがその重要性を悟ったとき、ではこのような営みの中心となる物質は何かと問いかけた。答えは、タンパクだ。タンパクがただの袋に機能を与えるのだ。流れる論理展開に学生たちがグイグイと引き込まれていく。一部だけだが同席して、時間があっと言う間に過ぎていくのを感じた。

次に、吉森先生は楽しかった。講義の展開を上に書いたが、実際には「立て板に水」のようではなかった。時に学生たち一人一人に問いかけ、答えを待つ。要所要所にギャグを織り込む。思いだしたように留学の話しをされ、ここぞというときにアヒルの話しをする。緻密に練り上げられたオペラを聴く、というより、下町の演芸場で落語を楽しむような(失礼)楽しさがあった。インターラクティブでインプロビゼーションを楽しむジャズの魅力でもあった。おそらく、吉森先生の性格の本質がそこにあると私は考えた。

そして吉森先生は誠実であった。講義の後、セミナーまでお願いしたのに、キチンと時間通りにこなされ、質疑応答に最後まで付き合っていただいた。そして、そして、大学近くの居酒屋では、是非にと参加したスタッフ、学生たちとフランクにお酒を酌み交わし、楽しいお話をいっぱい披露してくれた。人の話を真剣に聞き、質問には真摯に答える。私にはここまでできないなあと、うで組みしながらフムフムと感心した。

最後に、先生は謙虚で和み系だった。ノーベル賞候補だと書かれながら「これは運がいいだけなんです」と謙遜する。「ありがたいことです」と研究仲間への感謝を忘れない。自慢と取られかねない栄光のエピソードの最後には、必ず1発ギャグをかましてなごませる。

優れた研究者は人間的に魅力がある。以前、京都大学の長田重一先生が来られた時に感じたことを、吉森先生にも感じた。こんなことを言ったら吉森先生はしかし、「長田先生(月)に比べたら自分なんかスッポンです」と謙遜するに違いないのだが。。。

吉森先生、本当にありがとうございました。


posted by miyake at 17:35| Comment(0) | 研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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